カラス レーザーポインター

安全基準を超えたポインター

基準外のハト撃退レーザーポインターをめぐり、大阪府警などが計10業者を摘発し、4人を逮捕した。本来なら会議などでスクリーンを指す道具のはずが、使い方によっては、光で目を傷つける凶器にもなり得る。ネットでの売買が、航空機などへの照射事件の温床となっているようだ。

レーザーポインターが社会問題化したのは1990年代の後半。プロ野球選手が試合中、目にレーザーを当てられた事件がきっかけだ。子どもの目が傷つけられる事件も起こり、国は消費生活用製品安全法に基づき、安全基準を満たさなければ販売できない「特別特定製品」に指定した。強い光を出す違法レーザーポインターを売る業者の摘発が相次いだ。

 だが近年、航空機にレーザー光が照射される事件が続く。昨年10月の大阪(伊丹)空港の事件では、107人を乗せ、上空300メートルを飛行中の全日空機の操縦室の窓に、地上方向からレーザーポインターのような光が当てられた。大阪府警が威力業務妨害容疑で捜査中だ。

 民間機だけではない。米海兵隊のヘリコプターに光線を当てたとして沖縄県警が2015年12月に同容疑で逮捕した男は、調べに、レーザーポインターを使ったと認めた。防衛省によると、国内のレーザー光線をめぐる事件は、13年4月から今年6月末までに哨戒機などの自衛隊機に64件、米軍機にも107件あった。

レーザーポインター

 背景には、同法がレーザーポインターの製造や販売だけを規制し、個人の所有や使用を禁止していない現状がある。今回、中国製とみられる青色レーザーポインター 計6本(1本約1万1800~1万5800円)を富山県などの男性5人に売った疑いで京都府警が逮捕した男(34)=罰金20万円の略式命令=は、07~16年に800~900本を販売し、1千万円程度を売り上げていたという。

 安全基準を超えたポインターはネットを通じ、一般人でも簡単に入手できる。

 「害鳥撃退」「雪や氷を溶解する」。ネット上にはそんな宣伝文句が飛び交う。安全基準の数千倍の出力を持つ製品であれば数万円が相場だが、数千円で買えるものも。レーザー光でマッチに火が付き、風船が次々に割れる様子を紹介する動画も見られる。

 経済産業省や防衛省などは昨年12月、連絡調整会議を立ち上げた。同法とは別に、高出力のレッドレーザーポインター使用者にも規制をかける方向で検討しているという。

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